やまこしの文化

棚田

Reisterrassen

【写真】棚田

四季を映す鏡

山古志の棚田

ほとんど平地のない山古志では、水田を作るためには傾斜地を切り開かなくてはなりませんでした。そのための工夫が棚田です。棚田を新しく作るにはまず、棚田に適した場所を見つけなくてはなりません。山古志は昔から、地すべりが多い土地でした。地すべりは中越大震災で大きな被害をもたらしたように、大きな自然災害ですが、地すべりがおこると、山の傾斜がなだらかになり、耕作できる面積が広くなりました。また、変動によって土壌が混ざり合い、農作物の生育によい条件をもたらす利点もありました。
 秋の農作業が一段落ついて、11月に入ると新田切りや小さい田の拡張工事が始まりました。新田切りとは斜面を切り崩して水田を拓くことで、明治から昭和にかけて盛んに行われました。

  • 【写真】棚田

棚田が幾重にも重なる現在の山古志の風景は、毎年のようにすこしずつ棚田を増 やしてきた先人たちの苦労と工夫の結晶なのです。山古志の棚田は水を自然湧水や横井戸といった地下水に頼っていました。これらの水は非常に冷たく、そのままでは耕作に適したものではありませんでした。このため、ため池や堰、よけあぜを作つ くり、棚田に入れるまでに水を温める必要がありました。取水口近くには冷水に強い種類を1、2坪つ作ることもあったそうです。
 横井戸は水田の適地と思われる近くの山を見定めて、山の深いほう、北に向かって掘っていきます。北向きのほうが水を多く引き出せるそうです。地下水が流れるように勾配をつけて掘っていき、50~60mほど掘ると必要な水量が集まりました。真夏は井戸の中と外との気温差が大きすぎ、寒くなると地下水の量が増えて掘りにくくなるため、横井戸掘りは8月末から9月いっぱいにかけて行われました。
 この横井戸掘りの技術がのちに隧道を掘ることに生かされました。

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